Yavas(1996)"Search and Trading in Intermediated Markets"
Gehrig(1993)と同様のモチベーション
探索市場と仲介市場の共存をGehrig(1993)は論じました。そして、どちらの市場で取引するかを売手と買手に同時手番で選ばせるのがGehrig(1993)の不完備情報ゲームでした。この論文も同様の状況を分析していますが、探索市場と仲介市場を完全にセパレートしたGehrig(1993)とはモデルが異なります。
Yavas(1996)のモデル
この論文のモデルでは、プレイヤーは自分の留保価格を自分で設定できます。そのかわり「財の評価額」という変数が登場します。評価額はプレイヤーに固有で、プレイヤーによって異なると仮定されました。留保価格は評価額によって制約を受けます。
この論文のモデルでは、“探索強度(search intensity)”という変数が登場します。探索強度が強いプレイヤーほど、取引相手に出会いやすいが、そのぶん探索コストがかかります。プレイヤーは自分の探索強度を自分で決定できます。
結果と議論
Yavasは、①評価額が相対的に高い売手と低い買手がマーケットメイカーと取引し、評価額が相対的に低い売手と高い買手が探索を試みる、②マーケットメイカーの介入が探索に与える影響として、トレーダーの探索強度が低下する、③マーケットメイカー介入前の探索市場では、トレーダーの留保価格と評価額は同値です。しかし介入後は、売手は評価額より高い留保価格を、買手は評価額より低い留保価格を設定する、これにより探索を試みるトレーダーの留保価格の分散は抑えられる、と論じました。
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