Yavas(1994)“Middlemen in Bilateral Search Markets”
マッチメイカーの介入は何をもたらすか?
Yavas(1994)は、探索市場にマッチメイカーが介入する状況を分析しています。
探索市場の不確実性と外部性
Yavas(1994)によれば、仲介業者を存在せしめる2つの要素が探索市場にはあります。一つは不確実性で、もう一つは外部性です。ここで不確実性とは、探索で取引相手にマッチングできるかどうかわからないことを言います。また外部性とは、たとえばある売手の探索の熱心さが、他の売手、あるいは買手の取引成功率などに影響を与えることを言います。仲介業者の役割は、探索市場の不確実性を減少させること、および外部性を内在化させることであり、仲介業者はその見返りに報酬を得ていると、Yavas(1994)は考えました。Yavas(1994)は、ここでいう仲介業者にマッチメイカーが当てはまるかどうかを検証しました。
モデル
Yavas(1994)では、売手と買手がプレイヤーになります。Yavas(1994)は「探索強度(Search intencity)」という変数を導入することで、上述の不確実性と外部性をモデルに実装しました。探索強度が強いプレイヤーほど取引相手とマッチングしやすいですが、そのぶんコストがかかります。プレイヤーは自分の探索強度を自分で決められます。
Yavas(1994)は、Rubinstein and Wolinsky (1987)を直接関係する先行研究として挙げています。
(*しかし相違点が多く、全く新しい研究になっています。どちらかというとYavas(1992)やGehrig(1993)に近い気がしました。)
結果と議論
Yavas(1994)が示したことを以下の四つです。①評価額が高い売手と低い買手がマッチメイカーと取引する、②マッチメイカーの介入で、売手と買手の探索強度が減少する、③探索市場が非効率的で探索コストが大きければ、マッチメイカーの介入で経済厚生は増加する、④探索市場が効率的で探索コストが小さければ、マッチメイカーの介入で経済厚生は減少する。
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