Miao(2006)“A Search Model of Centralized and Decentralized Trade”
集権的市場と分権的市場の共存
Miaoは、マーケットメイカーの売買値によって取引が精算される市場を集権的市場(Centralized Market)と呼び、探索市場を分権的市場(Decentralized Market)と呼びました。これら2市場の共存が論文の主要なテーマです。
Gehrig(1993)との違い
Gehrig(1993)に近い研究と言えますが、Miao(2006)は次の点でGehrig(1993)と異なります。①財の評価額は買手の間で異質であるが、売手の間では同質である、②モデルが動学的である、③分権的市場の中で集権的市場が開催されることの経済厚生への影響を調べていて、つまりまず分権的市場があって、そのあと共存状態に至る場合、前後で経済厚生はどう変化するかを調べている、④集権的市場が断片化して分権的市場が誕生することの経済厚生への影響を調べていて、つまりまず集権的市場があって、そのあと共存状態に至る場合、前後で経済厚生はどう変化するかを調べています。
結果
Miao(2006)は以下を示しました。①均衡において集権的市場と分権的市場は共存し、マーケットメイカーは売値と買値に差額を設定する。そのとき分権的市場の平均取引価格は買値以上、売値以下になる、②つぎに独占的マーケットメイカーの売買値は、マーケットメイカー自身の取引費用、分権的市場の摩擦と平均取引価格に関係がある、③集権的市場の流動性は、マーケットメイカーの売買値と分権的市場の摩擦と関係がある、④集権的市場の断片化による2市場の共存は、断片化によってマーケットメイカーの売買値が十分小さくなる場合、経済厚生を改善できる。