Gehrig(1993)“Intermediation in Search Market”
探索市場と仲介市場は共存する
Gehrig(1993)は、電子化前のNYSEの立会場を、探索市場の中にマーケットメイカーの仲買で財が流通する市場(以後、仲介市場:Intermediated market)が形成されていると指摘しました。そして、探索市場で取引するか仲介市場で取引するかを無数の売手と買手に同時手番で選ばせる不完備情報ゲームをつくり、そのモデルで静学均衡分析を行いました。その結果、探索市場を選ぶプレイヤーと仲介市場を選ぶプレイヤーの共存状態が静学均衡になることを数理的に示しました。
交渉決裂のリスクを内包したシンプルな探索市場モデル
Gehrig(1993)では、探索市場を非組織的な市場と表現する箇所があり、やはり探索のコストや交渉決裂のリスクを指摘しています。Gehrig(1993)のモデルでは、無数の売手と買手がプレイヤーになりますが、彼らは固有の留保価格(いくら以上で売りたい、いくら以下で買いたい)によって特徴づけられます。この留保価格に個人差を定義することで、たまたま出会った売手と買手の間で取引が不成立になる(交渉決裂の)リスクを内包した探索市場を、Gehrig(1993)はモデル化しています。
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